『広告だからクリックしない』を超える施策へ:リスティング広告の一次データからの示唆
本ホワイトペーパーは、クラウドソーシングサイト上で実施したアンケート(有効回答数 n=300)を一次データとして分析したものです。対象者を特定せず広く募集し、無意味な文字列や文脈の欠落した回答はあらかじめ排除しています。
分析の出発点は、ユーザーが「なぜリスティング広告をクリックしないのか」「クリック後に何を求め、なぜ離脱するのか」という根源的な問いでした。結果として、約半数が“広告臭さ”を理由にクリックを拒み、クリック後はまず「価格」「仕様」「信頼性」を瞬時に確認したいというニーズが明確化されています。
検索結果では85.57%が自然検索結果を優先して選択しており、広告がクリックされるのは“指名性”や“具体的メリット提示”など例外条件下に限られることも示されました。
さらに離脱理由の最多は「広告文とLP内容の不一致」。
UIの煩わしさや表示速度も離脱を加速させています。
本稿では、5つの自由記述設問を多角的に分類・定量化し、そこから導かれる改善策を提示します。
広告コピーとLPの整合性、価値と価格の即時開示、第三者評価の明示など、“広告だから”という壁を越える具体的な打ち手を、一次データに基づいて示します。
マーケター・広告運用者・事業責任者の皆様にとって、ユーザー視点での再設計に役立つ指針となれば幸いです。
本ホワイトペーパーは、グローストリガー株式会社が公開いたします。
当社は、
・インターネット広告運用(Google/Yahoo! 検索広告、Facebook・Instagram・LINE・X(Twitter)・YouTube・各種DSP まで)
・Web制作(LP/サイト/バナー制作、アクセス解析)
・SNS運用代行・アドバイス(Instagram/X/YouTube)
をワンストップで提供し、“広告運用 × クリエイティブ × 分析”を一気通貫で最適化できる点が強みです。
広告効果の最大化や離脱率低減、LP改善に課題をお持ちでしたら、ぜひ当社トップページより詳細をご覧ください。
目次:
- 1. ユーザーが「広告をクリックしたくない」本当の理由
- 2. クリック後に“最も知りたい”情報とは何か
- 3. 「自然検索」を選ぶユーザーは85.57%──広告クリックは“例外条件”下でのみ発生
- 4.「思わずクリックした広告コピー」に共通するフックは何か
- 5. 「すぐ離脱」最大要因は“期待外れ”――コピーとLPの齟齬が27.52%
- “広告だから”で捨てられないために──信頼・整合・UX最適化でクリック後まで導く
グローストリガー株式会社
代表取締役 村瀬健人
弊社は、中小企業向けにWeb広告の運用を支援している広告代理店です。
専任担当者が、10万円から始められる無駄のない広告運用をご提案します。
1. ユーザーが「広告をクリックしたくない」本当の理由
設問1:リスティング広告で「クリックしたくない」と感じる理由は何ですか?
回答形式:自由記述

最も多かった回答内容は「広告臭い・PR表示で敬遠(47.32%)」でした。広告であると分かった瞬間に“売り込み前提”と判断され、読む価値が低いと感じられていることが示唆されます。
次いで「信頼性・怪しさ・詐欺懸念(25.84%)」です。誇大表現や運営元が不明瞭な場合、クリック以前に“危険回避”の本能を刺激してしまうと考えられます。
また、「表示位置や枠のうざさ(6.04%)」「強引な誘導(3.02%)」「不快なクリエイティブ(3.02%)」など、UX面のストレスも顕在化しています。少数ですが「無料・安さ推しへの不信(2.68%)」「検索意図とのミスマッチ(2.68%)」など、“言っていることと欲しいものが違う”というギャップも離脱理由の一つであることが示唆されました。
推測される背景
・“本当か?”を即座に見抜こうとする態度:
信頼指標(企業名、実績、第三者評価)が冒頭で示されないと、疑念が先行する
・検索意図最適化の重要性:
指名・課題解決キーワードで無関係な商材を見せられると反発が強まる
改善策・対策
・広告ラベル下でも“価値・信頼”を一行で提示する:
例:実績数や認証マーク、価格を冒頭で明示し、“売り込み”より“有益情報”を主張する
・コピーとLPの完全整合を図る:
“無料”の場合は条件を即明示する。検索語とズレた訴求は除外キーワードで排除する など
・頻度・露出制御とパーソナライズ透明化を行う:
リターゲティングの頻度上限を設けることで、追跡不安(一度しか見ていないものが何度も広告で出現することに対する不安)を低減する
2. クリック後に“最も知りたい”情報とは何か
設問:リスティング広告をクリックした後、どの情報が最も重要だと感じますか?
回答形式:自由記述

最上位は「価格・費用の明確さ」(37.58%)。次いで「商品の詳細仕様・機能」(32.55%)、「ベネフィット・メリット(得られる効果)」(28.86%)、「信頼性・企業情報」(27.85%)が続きます。
ユーザーはクリック直後に「いくらで、何ができ、どんな価値があり、誰が提供しているのか」を一気に確認したいという“4点セット”を求めていると言えます。
さらに「口コミ・レビュー」(18.12%)で第三者証明を補強し、「キャンペーン・割引」や「納期・導入スピード」(各8.72%)が意思決定を後押しする補助情報として機能しています。
背景にある心理
・不信の反転:
第1問で顕在化した“広告不信”を払拭するには、価格と信頼証跡を即提示する必要がある
・意思決定の高速化:
検索行動は課題解決志向。情報を探し回らずとも判断できる“即決素材”が要求される
・比較疲れの回避:
比較・ランキング(2.68%)は低め。ユーザーはLP内で“自分に合うか”を直観的に判断したいと考えられる
改善策・対策
・ファーストビューで「価格・主機能・実績・CTA」を並置:
価格の起点(○円~)、代表的な機能、導入社数/受賞歴、主要CTA(資料DL・無料体験)を一画面で表示する
・“効果”は抽象語でなく数値・事例で示す:
「工数を30%削減」「3か月で◯kg減」など、ベネフィットを定量化する
・第三者評価を掲載:
星評価・レビューの抜粋・導入企業ロゴ・メディア掲載実績など
・費用・保証・納期のFAQを折りたたみ表示:
細部はアコーディオンで“見たい人だけ深掘る”動線にする
・フォームは“最小限+後から追加入力”の設計にする:
CTA明瞭性(1.34%)は低いが、迷わせない導線と心理ハードルの低い入力項目設計がCVRを変えると考えられる
“広告だから疑う”ユーザーに対し、「金額・価値・信頼・使えるまでの流れ」を即提示できるLPこそが、クリック後の離脱を最小化しCVへ導く鍵となります。
3. 「自然検索」を選ぶユーザーは85.57%──広告クリックは“例外条件”下でのみ発生
設問:3. 検索結果画面で「広告」と「自然検索」のどちらをクリックすることが多いですか?
回答形式:自由記述

検索ユーザーの大半は、まず自然検索を選ぶことが示唆されました。広告は「基本スルー」され、“よほどの理由”が揃ったときだけクリック対象になるという構図が明確となりました。
なぜ自然検索が圧倒的なのか(Q1との接続)
1問目で浮き彫りになった「広告臭さ」「信頼性不足」「誘導感」への嫌悪が、クリック段階でもそのまま作用しています。ユーザーは“中立・一次情報”を求め、広告=宣伝、自然検索=客観情報という枠組みで瞬時に判断していると推測できます。
それでも広告がクリックされる条件
・指名検索時の公式広告:
ブランド名+公式と明示することで信憑性が高まりクリックされる
・価格・無料トライアルなど明確なメリット提示:
具体的な「得」が最初に見えることも重要視される
・緊急度が高いケース:
すぐ解決したい時に上位広告を妥協クリックするケース
・検索結果に有効な自然結果が見当たらない場合:
情報欠落を広告で補完する
広告運用側の示唆(“広告だから…”を超える)
・「広告=宣伝」の図式を崩すため、冒頭表現を工夫する:
価格・実績・第三者証明を最初に配置するなど、あからさまな広告だと不快感を抱かせない工夫が必要
・検索意図別のコピー/LP整合性を徹底:
指名系・課題系・比較系で訴求軸を分け、除外KW管理でミスマッチを排除する
・ブランド防衛と情報補完のクリック狙いを明確に棲み分ける:
指名検索は防衛線として敷いておき、汎用KWは“補完情報提供”でクリック動機を作る
・UXと速度の最適化:
クリック後の離脱要因を潰す:
表示速度の最適化・ポップアップを乱用しない・フォームを簡略化する
・SEOとのハイブリッド戦略:
自然検索で一次情報/比較記事を押さえ、広告では“即決要素”を提示する
・KPIの見直し:
CTRだけを追うのではなく、「広告経由CVR」「広告→再訪CV率」「ブランド指名広告の防衛効果」など、目的別の指標設計が不可欠となります。
クリックの主戦場は依然として自然検索であることがわかりました。しかし、広告が“自然検索と同等の価値情報を提示”できれば、ユーザーはクリックする余地を残しています。
広告運用は“売り込み”から“問題解決の入口”へのパラダイム転換が必要であることが示唆されました。
4.「思わずクリックした広告コピー」に共通するフックは何か
設問:4. 広告のタイトルや内容で、気になってクリックした事例を教えてください。
回答形式:選択+自由記述

最多は「記憶にない」(63.42%・189件)で、心に残る広告コピーは少ないという現状が浮き彫りになりました。
残りの約4割弱で見えたフックは、①割引・お得訴求(15.44%)、②ニーズ一致・関連性明示(9.40%)、③社会的証明・著名人(4.36%)、④無料・トライアル(3.69%)でした。
ジャンルでは「健康・美容」「エンタメ」「食品・グルメ」が僅差で並び、“日常的関心+自分ゴト化しやすい領域”がクリックを誘発していると解釈できます。
読み取れる傾向と仮説
・無料は依然として強力だが“条件不明”は逆効果:
お得感は効くが、1問目・2問目の結果から、不明点が多いと離脱率が高まる傾向にある
・“自分の検索意図と完全一致”が最もクリックを誘発:
当然だが、課題解決型キーワードとの一致が最も強いフックとなる
・権威付けは“弱いが効く”補助輪:
芸能人やレビュー星などの第三者証明は、最後の一押しとして機能する可能性がある
・緊急、限定がメインの訴求は適度な活用を:
FOMO(Fear Of Missing Out:取り残されることの恐怖)や手軽さは一部で刺さるが、乱用は信頼低下を招く可能性がある
改善策・施策の方向性
・「価値×価格×根拠」をワンセットで提示する:
例)「○円OFF」+「○日まで」+「導入社数/レビュー4.5」
・検索意図別でコピーの粒度を上げる:
誰向けなのか?どの課題をどう解決するのか?を冒頭に記載したり、除外KWでミスマッチを削ったりする施策も有効
・記憶に残る“固有表現”を作る:
数字、固有名詞、ビジュアルをすべて一体化させ、「その他」に埋もれないようにする
・“無料”や“簡単”には条件や工数をセットで記載する:
「初月無料/クレカ登録不要」「入力はたったの3項目」など、疑念を先回りして解消する
・ジャンル特性に合わせた訴求軸を変える:
・健康・美容:ビフォーアフター数値/科学的根拠で信憑性を最大限に高める
・エンタメ:話題性・限定公開・推し要素で訴求
・食品:味・原材料・産地×割引の掛け算でユーザー体験と信頼性を担保
結論として、クリックを奪うのは“安さ”だけではないことが示唆されました。
「自分ゴト化された価値」「信頼の根拠」「条件の透明性」を、短いタイトル内で同時に伝えられるかが勝負どころとなりそうです。
記憶に残る広告体験を設計し、“その他”に分類されないコピーを量産することが要求されます。
5. 「すぐ離脱」最大要因は“期待外れ”――コピーとLPの齟齬が27.52%
設問:5. 広告リンクをクリックした後、ページをすぐに離れてしまう理由は何ですか?
回答形式:自由記述

クリック後の離脱理由で最も多かったのは「内容が広告文と異なる/期待外れ」(27.52%)。
続いて「ポップアップ・自動再生など煩わしいUI」(19.8%)、「ページ読み込みが遅い/重い」(10.07%)が続き、“信頼性欠如・怪しさ”(4.03%)や“欲しい情報が見つからない”(2.35%)なども確認されました。
つまり、ユーザーは「広告文と内容の不一致」「UXストレス」「速度問題」で離脱している構図です。
推測される背景
・クリック前の不信を裏切られることで“確信”へ変わり、離脱する:
Q1で顕在化した広告不信が、LPで裏切られると離脱に直結する可能性が高い
・課題解決志向ゆえ“数秒で判断”:
知りたい情報に触れる前に邪魔が入る(ポップアップや遅延)と離脱につながる
・“無料/割引”の条件が不明瞭だと逆効果:
価格や条件が曖昧なままフォーム要求に入ると離脱率が跳ね上がる
改善策・対策
・コピーとLPの完全整合・透明化:
「無料」「○%OFF」などの条件をファーストビューで明記し、誇大や釣りは行わない
・侵襲的なUIを禁止&表示速度を最適化:
自動再生、ポップアップ、追従バナーをなるべく利用せず、表示速度改善で離脱を防止する
・“探している情報”への直通的な導線を作る:
価格、機能、実績、CTAを視線の流れに沿って配置し、FAQや詳細はアコーディオンで深掘りできるようにする
・信頼証跡を早い段階で提示する:
企業名、導入社数、レビュー抜粋、セキュリティ、保証をファーストビュー近辺に掲載する
・フォームは“最小入力→後追い詳細”方式へ:
メールや電話番号必須は最終段階に回し、離脱前に価値を体感させる必要がある
クリック後3秒で“価値と信頼”を提示し、余計な障害を置かないことが大切であることが示唆されました。
約束を守るコピーとストレスレスな体験設計が「広告だから離脱する」をひっくり返す鍵となります。
“広告だから”で捨てられないために──信頼・整合・UX最適化でクリック後まで導く
本調査(n=300)から見えてきたのは、ユーザーが広告を避ける最大理由は「広告臭さ」と「信頼欠如」であり、クリック後に求めるのは「価格・仕様・価値・信頼」の即時提示であるという明確な構図です。
検索結果では自然検索が圧倒的に選ばれ、広告がクリックされるのは“指名性”や“具体的メリット”など例外条件が揃ったときに限られます。
さらに、離脱の決定打は「広告文とLP内容の不一致」や「煩わしいUI」「表示速度の遅さ」でした。
これらを踏まえると、リスティング広告で成果を出す鍵は次の3点に集約されます。
最初の3秒で“信頼と関連性”を証明すること
価格の起点、主要機能、実績・第三者評価をファーストビューに並置し、「売り込み」より「価値提供」を前面に打ち出します。
コピーとLPは一字一句レベルで整合させ、“無料”や“割引”の条件は早い段階で明示することが大切です。
ユーザー意図と体験の連続性を担保すること
キーワードの粒度を細かく設計し、除外KWでミスマッチを排除します。
クリック後は欲しい情報への導線を最短化し、フォームは最小項目から始めるなど、CVまでの心理的・操作的障害を徹底的に削ることが求められています。
侵襲的要素の排除と速度最適化で“離脱要因”を先回りで潰すこと
ポップアップや自動再生の動画、誤クリックを誘うUIを避け、LCP/INPを意識した高速表示を実装することも重要です。追跡不安を下げるためにリターゲティング頻度や個別最適化などの調整も有効に作用すると考えられます。
リスティング広告運用では、CTRだけを追う運用から「広告経由のCVR」「再訪率」「ブランド想起」など、本質的な指標への転換が求められています。
本ホワイトペーパーが、広告コピーとLP設計、配信戦略の再構築に役立ち、“広告だからクリックしない”という壁を超える一助となれば幸いです。
解決のご提案